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<金魚を慣れさせる方法について> [ショートコラム]

金魚とは、自然界から最もかけ離れた生き物かもしれない。
あのヒラヒラの鰭、ブクッとした体型、真っ赤な体色・・・敵に見つかりやすく、敵から身を守るどころか逃げる術もない姿。どれをとっても川や沼で自立できる要素にはなりえない。
言い換えれば、人から餌を貰い、水を換えてもらい、敵から守ってもらうことを前提とした上でしか生息できない、かわいそうな生き物とも言える。
金魚は、人間と共にしか生息できないという宿命を持つ以上、本来、人に慣れ易い生き物である。
水槽や池の水越しに人の姿を見つけて寄って来るしぐさは、実にかわいらしい。
しかし、環境が変わったり、常に落ち着けない生活を強いられると、たとえ金魚とはいえ、ビクビクした行動を取るようになる。
最初の行動は・・・餌を貰う時に落ち着いて食べないしぐさ。水面下で餌をくわえたら、サッと反転する。
次は、人が通るたびに水槽内を俊敏に泳ぎまわり、砂利を敷いていない水槽では頭を底につけて潜り込もうとするようなしぐさ。近くに水草があれば、そこに頭を突っ込みジッとする。
挙句の果ては(隠れる場所もない場合)、水槽の隅に体をくっつけ、鰭を閉じてジッとする。
ちなみにマダイの場合は、そういうストレスを感じると、赤い体色が一変してシマシマ模様になるのだ。赤と黒のシマシマになる。そして体を斜めに傾けてジッとする。これを専門用語で、横臥行動という。

金魚の場合、横臥行動をとる事はまずないが、人間をストレスと感じることは多々あるようである。そのような例を挙げてみよう。

まず、金魚すくいの金魚の場合、初めから人を見ると寄ってくる・・・などということはまずありえない。もともと、金魚すくいの金魚たちは、水槽や池でギュウギュウ詰めのまま育てられ、しかも人に追い回されてあなたの家にやってきているのである。
となると、数千匹の単位ですごしていた日々が一変し、せいぜい4,5匹で1つの水槽となる。当然、その金魚にしてみれば、水槽自体が狭くても、仲間のいない寂しい水槽になるわけ。群れで過ごしていた魚を急に1尾にすると臆病になるのは当たり前のことで、群れで過ごす期間が長ければ長いほど、水槽に慣れるには時間がかかる。そして、人間は自分たちを追い回す生き物であると知っているので、人の姿を見るたびに逃げたり隠れたりするわけだ。急に寂しい環境に入れられ、恐怖の人間がいつも覗き込むような状況では、おそらく金魚とはいえ、うつ病のような状態になるのではないだろうか?
金魚店であっても、たたき池のような環境から連れてくる場合は同様に、1尾だけでは慣れにくい。急に環境が明るくなるのが嫌なのか、尾数が減って寂しいのか、水槽のレイアウトに隠れやすい子になる。
反対に、店の水槽で飼われていた魚の場合は、落ち着くまでが早い。人の顔に慣れており、餌を貰うということをよく知っているので、人の姿を見ると寄ってくるのである。それどころか、店にディスプレイされている時から人の近くに寄ってくる仕草が見られ、それにつられて買ってしまうなんてこともある。

金魚をごく普通に慣れさせる場合、何よりも必要なのは愛情である。その愛情とは、餌をたくさんあげる事ではなく、水を常に換えることでもない。どれだけその金魚に接することができるかどうかなのだ。簡単に言えば、金魚に自分の顔を覚えてもらうことである。
まぁそう言うと語弊があるかもしれないが、要は金魚に、人間の姿は平気なんだよと教えてあげることが大切なのだ。
例えば、慣れていない金魚を慣れさせるときに、最初の数日は落ち着かせるために餌をあげてすぐに人間が姿を消すのも良いことである。でも数日たったら、餌を食べる間、動かずに見ていてやるとか、餌を食べていない時でも一度水槽を覗き込んだら5分以上は動かずに見ているとか・・・金魚からも人間の顔をじっくり見れるようにしてやるのである。最初はビクビクしていた金魚も、5分もじっと動かずに見られると、少しずつ顔を出すようになるものだ。1尾出てくれば早い。あとは2尾出て3尾出て全部出る。

あともう一つ大切なことは、数匹一緒に飼う事である。
なぜなら、金魚の祖先であるフナは群れで行動する生き物だからだ。当然、金魚も同じ。群れで行動する生き物には、群れを作ってあげるのが一番。それが早く落ち着かせるコツでもある。もともと群れで生活する動物は、性格が臆病であるということを忘れずに!そして、数匹一緒に飼えば、いつも一緒にいる可愛い行動が見られるワケ。

金魚を慣れさせる場合、環境にも注意を払うほうがいい。水槽が自分の目線よりもかなり下にある場合、注意が必要だ。もともと魚は、上から来るものを天敵としてみなすのは習性であり、水槽側面よりも上面に姿が映ると、警戒することが多い。急にスピードを上げて泳ぎ回ったりするのは典型的な逃げ行動である。そして、水槽が足元近くにある場合、人間が歩く時の振動も、結構、金魚を驚かせているのだ。すなわち、足音(ほんのわずかな振動)に上から見える姿がプラスされた場合、魚は一時的に驚いてパニックになり、それが慣習化すると非常に人間に懐きにくくなる。
上見の魚を上見で飼う場合、飼育当初はそっと覗くこと、足音による振動を水槽に与えないような位置関係にすることが大切である。

数尾一緒なのになかなか慣れない金魚の場合は、水槽を出来るだけ上に置いて(下駄箱の上くらい)振動をなくしてやること。水槽の電気を消した状態で1週間程度おいてやること。それから、ちょっと強引な案だが、よく慣れた金魚を2尾追加してやる!というのも手である。ちなみに、2尾にした理由は、1尾だけだと水槽に元からいた臆病な金魚の臆病癖がうつるからである。

どちらにしても、今日明日で慣れさせる必要はない!と飼い主がゆったり構えることが大切だ。せっかちに幾たびも水槽を覗かず、水が汚れるからと餌をすぐに取り除くことをせず、のーーんびりと見守ってやることである。金魚の寿命は結構長いのだ。この先、10年は一緒なんだから!と思っておけばいいのだ。
うちの地金たちなんか見てみなさいって!
飼い主が超のーんびりだから、その性格が丸移り。ストレーナー(水を吸うもの)がきても怖がらず、網が来ても我関せず。餌はナンボでもお代わりを要求してくるし、指にもパクパクしてくる始末。おまえらの野性味はどこいっただ?


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